総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
色気ゼロとか、失礼だなあ。
しかし言い返す言葉もない。
「色気って……どうやって出すんですか」
「はあ?」
「そもそもに恋人なのでしょうか」
幻さんにとってわたしが特別には違いない。
でも、それは愁さんも燐さんも同じだ。
大きく違うのは、わたしが女の子だってこと。
付き合いも絆も、みんなよりずっと浅い。
「俺のものって言われて、それを彼女って解釈していいと思います?」
「アホか俺に聞くな。相手のことなにも知らねぇのに」
「ですよね。……すみません」
なんで出勤初日に一番弟子さんに幻さんとのことを相談しているんだろう、わたし。
「つか、お前の恋バナとかクソほどにどうでもいい」
「はい。まだ知り合って間もないので、こういう話は仲良くなってからにします!」
「なに納得してんだよ。誰が仲良くなんてなるか」
「なりたいです。師匠ってお呼びしても?」
「やめろ」