総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「じゃあやっぱり、一番弟子さんでいいですか」
「……めげねぇな」
「なんのこれしき」
無茶な要求されたり
嫌がらせをされたり
コソコソと悪口を言われるのに比べれば
あなたの冷たさは、どうってことない。
「師匠からのは愛のムチだと思っておきます」
「……変なやつ」
――変なやつ。
「わたし変わってますか?」
「女ってすぐ泣くだろ。この前来たやつ、一時間ももたずに弱音吐いて消えてったぞ」
「え!?」
「休憩なんてとるまでもなく」
それは……あなたが……
冷たいことばかり言うからでは?
「だいたいピアスしたまま厨房にきたり、爪を切りたくないだのゴネたり。募集要項に目を通したのかも疑わしいチャラいのは要らねーっての。働くこと舐めてやがる」
一番弟子さんの耳にはピアス穴があいている。
でも、ピアスはついていない。
「安心してください。わたし、規則は守ります。爪だって、愁さんに爪切り借りてバッチリ切ってきました」
「知るか。誰だよシュウさんて」
「お世話になってる先輩です」
「どうでもいいわ」
「弱音は吐きません。消えもしません!」
「ハイハイ」
「あっ……あれぇ? 信じてませんね? どれだけハードでも、たえる自信ありますよ。今は使えない素人ですが必ずやお店に貢献できるようになります」
「口だけならなんとでも言えるな」
「たしかに。そうですよね。有言実行できるように頑張らなきゃ」