総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「今夜は走りに行かないの?」
「行くに決まってんだろうが。誰のせいで遅くなったと……」
「わーい。乗せて、幻」
幻のバイクの後部座席にまたがる。
「おまっ……! いつも幻のウシロ乗りやがって!」
「いいじゃん。あ、そうだ。ボクが姫になってあげようか?」
「テメェが女神?……ざけんな、死神だろ」
「あはは。愁にしては、おもしろいこと言ったね」
「どういう意味だよ!」
姫の話題を出したのは、思いつきだった。
そもそもに
オレのハナシなんて、だいたいがノリだ。
これまで合コンもナンパも付き合おうとしなかった幻に、仲間として女を紹介したときの反応が見てみたかった。
それ以外の深い意味なんて特になくて。
それも、どうせ反応薄く終わるだろうなーって感じにしか考えていなくて。