総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
いっしょ、なんだ。
お互いにドキドキしてる。
(わたしからキス……)
やっぱり緊張する。簡単にできないよ。
こんなに近くにいるのに――。
「……!」
幻さんの手が頭のうしろにまわってきて、あっという間に唇が重なる。
「……幻さん」
「時間切れだ。俺は気が長くないことは知っているだろう?」
こくこくと頷いていたら、続けて何度もキスされてしまった。
――やっぱり幻さんはオトナだ。
「それで、夕烏。覚悟はできてるのか?」
「……覚悟」
「こんな状態で俺になにもするなというのは拷問だってことくらい理解できるだろう」
「……!」
幻さんの大きな手が、わたしの太ももを撫でる。
「お前のことを抱きたい」
――!!
「骨の髄まで愛したい」
「愛したい……?」
「一生かけて」
――!
「……プロポーズ、みたいですね」
「逃げたいか?」
「まさか! 逃げないです!……幻さんの、お嫁さんになりたいです」
って、待って。
幻さんの気持ちを確認するつもりが。
(……これはどういう展開ですか……?)
「なってもらわなきゃ困る」
「会ったばかりですよ、わたしたち」
「それが?」
「……っ、お互いのこと、なにも知らないです」
「知っていけばいい。これからいくらでも」
「…………」
「なにを泣きそうな顔してる」
「だっ……て。わたし、色気ないですし。子供ですし。ミーアキャットの赤ん坊ですし」
「はは。どんな夕烏も可愛いよ」
「ちゃんと恋してますか……? わたしに」
「生憎そんな言葉で片付けられるほど単純な想いでもない」