総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


「ノートとボールペンです!」

「見りゃわかるわ。なんでンなもん持ってるかっつーハナシだよ」

「師匠の言葉を一字一句逃すまいと。ここに書き留めておくんです。美味しいパンを作るために……!」

「……ふぅん」


それ以上なにもツッコまれない。


「マジで続ける気あんの」

「ありますよ、そりゃあ!」

「いくらでも割のいい仕事あるだろうに。サウナみたいでメイクも崩れるわ。お洒落もできねーぞ」


(……んん?)


「キッチンのお仕事でお洒落って必要です? お化粧は当分する予定ありませんし、仕事中はすっぴんで問題ないです」

「朝だって無理して早起きして来ることない」

「無理してませんよ? あんなに美味しいパンが作れるようになるなら、むしろ無理したくなります。あ、幻さんに無理させてることは……ちょっと……心配ですが」

「相変わらず直球なやつだな」

「いけませんか」

「変なやつ」

「あー!……また言いましたね?」

「何度でも言ってやるよ」
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