総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
黙々と生地を型にはめ込んだり、手で形作るサトルさん。
「器用ですよね」
「慣れだな」
「見た目が綺麗なだけじゃなく。味もいいんですもんね」
「……うぜえ」
「ええっ!?」
「洗い物でもしてろ」
そうですよね。
まだ、パンは作らせてもらえませんよね。
こうなったら、できる範囲の仕事を全力でやるのみ。
「他にお仕事ありますか!?」
「もう片したのか」
「はい!」
「……ちょっとくらい力抜けば」
「いや。今こうしてる間にも、お給金は発生しているので」
「真面目だな、お前」
「そうですか?」
そういうサトルさんこそ、とても真面目な人に見えますが。
「俺は、仕事ってのはどれだけ働いたかよりも。どれだけの成果を出せたかがすべてだと思ってる」
「成果……ですか」
「ああ。一生懸命やって評価されるのは学生時代までの話だ。大人んなりゃ結局なにができたかが重要になってくる。いくらサボってもいい。うまいパンが焼けりゃあそれで」
「……?」
「つーことで。俺は一服に行く」
「お供します!」
「来んな」
「でも、片付け終わりましたし」
「……勝手にしろ」