総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
事務所に行くのかと思ったのだけれど、向かったのは店の裏手だった。
そこには灰皿が置いてある。
「タバコですか?」
「煙いから向こう行ってろ」
「ああ。だから、エプロン外して来たんですね」
わたしも外して来たほうがいいだろうか。
「……金魚のフンかよ」
「なんです? それ」
「いや。……別に」
「相談してもいいですか」
「またかよ」
「師匠は今までに彼女できたことありますか。いや、師匠のことだから……いなったかなあ」
「喧嘩売ってんのか?」
「いました?」
「現在進行形でいるわ」
「ええ!」
「そこで驚くなよ」
「サトルさんはパンが恋人って感じがして」
「…………」
サトルさんが女の子に“好き”とか言ってるところ、全然想像がつかないし。
デートするところも。
ましてや、キス、するイメージなんて……。
「サトルさん……大人ですもんね」
わたしの知らないこと、たくさん知ってるんでしょうね!!
「オイ今なに考えやがった」
「心の準備について知りたいです」
「は?」
「好きな人に……覚悟を決めるように言われまして。どんな準備が必要なんですか、師匠」