総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


事務所に行くのかと思ったのだけれど、向かったのは店の裏手だった。

そこには灰皿が置いてある。


「タバコですか?」

「煙いから向こう行ってろ」

「ああ。だから、エプロン外して来たんですね」


わたしも外して来たほうがいいだろうか。


「……金魚のフンかよ」

「なんです? それ」

「いや。……別に」

「相談してもいいですか」

「またかよ」

「師匠は今までに彼女できたことありますか。いや、師匠のことだから……いなったかなあ」

「喧嘩売ってんのか?」

「いました?」

「現在進行形でいるわ」

「ええ!」

「そこで驚くなよ」

「サトルさんはパンが恋人って感じがして」

「…………」


サトルさんが女の子に“好き”とか言ってるところ、全然想像がつかないし。

デートするところも。

ましてや、キス、するイメージなんて……。


「サトルさん……大人ですもんね」


わたしの知らないこと、たくさん知ってるんでしょうね!!


「オイ今なに考えやがった」

「心の準備について知りたいです」

「は?」

「好きな人に……覚悟を決めるように言われまして。どんな準備が必要なんですか、師匠」

< 205 / 258 >

この作品をシェア

pagetop