総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「あんぱん、いびつだねぇ。でも、サトルがバイトにパン作らせたのって初めてじゃない? あんなやつの元で辞めずに二日続いてるのすごいね」
燐さんは、サトルさんのことをよく知っているのかな。
「どんなやつなんだよ、そいつ」
愁さんが不思議そうにしている。
そして。
なぜかさっきから一言も話さない、幻さん。
いつもみんなでいるときは、基本的に無口だけど。
それにしても話さなさすぎでは……。
「だからー。サトルは、ユウちゃんには続けて欲しいから教える気になったんだろうね?」
「そうだと嬉しいです……!」
「そっかそっかー。ユウちゃん、サトルに気に入られたんだねぇ」
カシャ。
なんの音かと思ったら、幻さんが携帯をパンに向けていた。
「幻。なにやってんだよ」
「……夕烏」
「はい!」
「一番の自信作って。どれ?」
「あ……えっと」
ひとつだけ形の違うパンを、手に取る。
「これ……です」