総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


「それは?」

「好きに作っていいと言われまして」


それで、チャレンジしたものです。


「あー。オットセイだあ!」

「バカ野郎。ありゃサルだろ」

「……燐さんも、愁さんも、ハズレです」


幻さんならわかってくれるかな。


いや、きっとわからないだろう。


どうして料理が得意なんて自己紹介しちゃったんだろう。


得意なはずだったんだよ。


――パンを作るまでは……。


やっぱり新しいことを始めるのは難しい。

はやく胸を張ってパン作りが得意ですって言えるレベルまでいきたい。


「夕烏か」

「……!」

「それ、夕烏だろ」


幻さんが、携帯電話のカメラをわたしに向ける。


カシャ。


「……っ」


不意打ちすぎます幻さん。

いま、わたしどんな顔してた……!?


「これは俺のだ」


そういって、わたしからパンを受け取る。

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