総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「起立、礼――」
お天道様の昇っているうちは、超のつくくらいの優等生。
進学校に首席で入学して以来、学年トップの成績を維持し続けているこの俺が。
まさか夜は改造バイクを乗り回しているだなんて、ここの教師が知れば泡でも吹きそうだな。
――男子校。
当たり前だが驚くほどに女子との出会いがない。
もっとも、自ら切り開く者はいるが。
「週末K女との合コン行く人ー!」
「はいはい! 俺いく!」
(……俺だって行きてーよ)
だが、反応するんじゃない、正門愁太郎(まさかど しゅうたろう)。
お前はそんなところに顔を出すキャラじゃない。
「他にいねえ?」
人数に余裕があろうが誘いはまわってこない。
女に興味のないガリ勉とでも思われているのだろう。
一度も声をかけられた試しがない。
――それでいい。
表向きは優等生。
そうしている方が都合いいんだよ俺は。
「正門……は、ないな」
「いくら頭よくてもアレはちょっと。ツレだと思われたくねえわ」
「私服マジださそー」
(……ぶっ飛ばすぞ?)
「いつも休み時間は問題集か本読んでるし」
「親父が警察のエリートだから下手なことできないのもあるだろうけど」
「それにしても……退屈そうな人生だよな。あんなヤツでもエロいこと考えたりすんのかね」
子供のときから周りと遊ばせてもらえなかった。
ゲームや漫画なんて欲しいと言えば叱られた。
溜まりに溜まったストレスの捌け口。
それが――。