総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「さーて。今夜はどこに泊まろうかなー。そうだ、久しぶりに幻とこ行ってもいい? 新しいバイク買ってさ。朝まで改造しまくろうかな。貢献してあげるよ、売上」
「燐」
「なあに、幻」
――なんでも打ち明けて欲しいと思う。
「本当は知りたいんだ。夕烏のことなら、なんだって。……だが、口では『言いたくなければ言わなくていい』と」
「かっこつけすぎだよー、幻」
「!」
「いつも優男になる必要もないんじゃない?」
俺は夕烏に優しくしてやりたいと思う。
その反面、
真逆のことをしてしまいそうになる。
「嫌われたくないんでしょ。わかるよ。ボクもあの子にはイジワル言っても喜んで傷つけたくはないかな。出会ったときはなんにも思ってなかったけど」
――嫌われたくない。
傷つけるのが、怖い。
だけど、壊したいくらい、愛くるしい……。
「ほんと信じらんない。女の子に一喜一憂する幻なんて。超おもしろいもの見れたなー。でも、そろそろ夕烏ちゃんの家のひとも黙ってないんじゃないかな」