総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)



おかしいだろう?


社会のルールを破る不良どもが、

幻の前ではマナーをきちんと守りやがる。


それも、言われてやるんじゃねぇ。

自発的に。空気を読んで。


周りのオトナや己の人生に絶望し

未来に夢も希望もない俺たちが。


幻のことは尊敬している。


ナカマのことは大切に想っている。


なんだかんだ、ここで、楽しくやっている。


家庭環境に問題抱えてたり、居場所がなかったり、日頃の鬱憤を晴らしたかったり。


なにかしらの闇を背負い、なおかつ消化しきれていない連中がここに集まっているように俺は思う。


そうでなきゃ家でスマホゲームやったり女子とデートしてるような年だよな、俺たちって。


――で。


いくらここが、

割と心の優しい連中のたまり場だからって。


女子受けのいい燐の誘いに乗ってきたからといって。


……あっさり姫に志願するだろうか。


俺が女子なら、来る場所を間違えたと思い、即刻引き返しそうなものなのに。


燐に連れてこられた少女は、わくわくしてやがる。


わかってるか。


ここはネズミのいる夢の国なんかじゃねーぞ。

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