総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)



もしかして。


……おバカ、なのか?


居るだけで暮らしが保障されるなんて甘い話を鵜呑みにしてきたのか?


それとも。


こんなことは考えたくはないが。


罠……なんじゃ。


燐の言葉を借りるわけじゃねーが、女子は息を吐くように嘘をつく生き物で。


それを多くの男は見破れない……とかなんとか。


もちろんそんなもん

燐の会ってきた女子がそうであったというだけで。

誰もが平気で他人を欺くという話ではないだろう。


純真な心を持つ子だっていて。

この子だってきっと、そうなのだと願いたい。


それでも、万が一


天真爛漫に振る舞ってみせるのは、演技だとしたら――。


「家事全般、とくいです!」 


俺は女子というものが今以上にわからなくなりそうだ。


「……へえ。そりゃ意外だ」


皿洗いさえしたことがなさそうなのに。


ってそんなこと考えてる場合じゃねーよ。


この子が白か黒かはこの際どうでもいい。

深入りしても、いいことはない。


情でもわいたら厄介だ。


「自信あるのは……家庭料理です」

「いや、だから君、飲食店のバイトの面接みたいなノリされても困るんだ」


やることは、決まっている。


――早々にお帰りいただく、ということで。

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