総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
……ええい、
燐のアホが余計なことしやがったせいだ。
本来ならこの子と会話することさえなかっただろうに。
燐がどこからか知らねーがこの子を拾ってきやがったせいで、こんなモヤモヤした気持ちにさせられるハメになった。
ほんと疫病神かよ。この銀髪は……。
お願いだから、俺の心のオアシスを荒らすな。
俺はここにいられるときしか。
こいつらと走ってるときしか、生きた心地がしねーんだよ。
「申し訳ないが。……誤魔化しても仕方ないのでハッキリ言わせてもらう。君の居場所は、ここには――」
「愁は黙っててくれないかなあ」
「……なんだと?」
「ボク、幻に意見を聞いてるんだ」
――いい加減にしろ。
せっかく俺が説得しているのに。
話をややこしくするな。
これ以上無駄な期待をさせるのは具合が悪い。
俺たちがこの子にしてあげられることなんて、なにもないんだ。
だいたい、幻が頭を縦に振るわけがねえだろ。
そんな身元もわからない少女よこされて、はいそうですかって二つ返事で引き取れるかよ。
「聞くまでもない」
幻が愛するのはバイク。
信用するのは、俺たち仲間。
他になにが必要だっていうんだよ。
要らないと。そう言われておしまいだ。
「姫は必要ない。そうだよな、幻?」