総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「……幻?」
「あれれー?」
愁と燐の言葉が耳に入ってこねえ。
「あ、あなたが総長さんですか」
まっすぐに視線を向けてくる。
くりっくりの目を。
それを、ただ、見つめることしかできねえ。
(……俺が総長かって?)
「ああ」
かろうじて返事はできた。
つーか。
総長さんって。
総長に、さん付けって。
なんだそりゃあ。
……かわいすぎねえ?
響きもだが。
声からなにから。
総長さん。
総長
さん
…………。
「最後にひとつだけ聞いてもいいですか」
――最後…?
は……
最後?
「言ってみろ」
最後って。
なぜ、最後なんだ?
「わたし、姫にはなれませんか」
「お前が。姫……?」
「はい」
この、ちんちくりんが。
“姫”
だと……?
「総長さんがダメだと言うなら、諦めがつきます」
姫。
ひめ。
ヒメ……
いや、オマエは。
チームの姫というよりは――。