総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「……お邪魔します!」
総長さんに続いて、扉をくぐる。
「なんのおかまいもできねえけど。今、愁が準備してるだろうからここで待て」
みんなの前では全然話していなかったのに。
意外に、話してくれるのが嬉しい。
クールはクールだけど、印象違うなあ。
っていうか総長さん
普段はしっかり働いてるんだ。
勝手に、暴走族さんって、年中バイク乗り回してるものだと思ってた。
でも、考えてみればそんなわけないよね。
走ってない時間帯は、それぞれにやることがあるんだよね。
学校行ったり、働いたり。
バイク以外に楽しみもあったりするのだろうな。
「……どうして助けてくれたんですか」
他の人の様子だと、チームに姫というものを求めていないみたいだった。
それに。
「俺の……って?」
言いましたよね。
「わからないのか」
「え……」
「まだまだ子供だな」
そりゃあ、総長さん大人っぽいし。
というかきっと大人だし。
そんなあなたから見たら
わたしはすごく子供って思われているのだろうけど。
「わたしにだって……“俺の”の意味くらいならわかります」
そういった直後、
「ほんとかよ」
――総長さんが、覆いかぶさってきた。