総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
初めてだから上手くできるかわからない。
ファーストキスは
好きな人としたかった、けど。
……このひとなら嫌じゃないかも……。
そっと目を閉じた。そのとき。
「愁は、ひとことで言うと優等生」
(……へ?)
「曲がったことを嫌う、人一倍潔癖なやつだ。そして極力プライベートに干渉させない。部屋を貸すなんてもってのほかだろう」
「そうなんですか?」
あのオールバックのお兄さん
それでもわたしを住ませてくれるんだ……。
たしか、
総長さんの頼みだからって受けてくれてたよね。
「言われたことは、きちんと守れよ」
「はい! 言うこときいて、綺麗に使わせてもらいます。お掃除なら任せてください。隅々まで――、」
「程々にな。あいつ自身がマメにやっているだろうし、物の配置なんかは変えないほうがいい」
「……はい」
って、あの、総長さん。
この状態でする話ですかそれは!?
てっきりキスされると思って
覚悟を決めたところなのですが。
「なにかに似てると思えば、アレか」
そんなに顔を覗き込んでこられると
非常に、照れくさいのですがっ……。
(……アレ、とは)
これまでに似ていると言われたものを思い出すとろくなものがない。
髪の伸びる呪いの人形、とか。
……井戸から出てくる怖い女の人とか。
「なにに、似てますか」
知りたいような。
知りたくないような。
「ミーアキャットの赤ん坊」
「あ、赤ん坊!?」