総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
……なにそれ。
「それはないよー。てっきり呼び出されると思ってお姉さんとバイバイしてきたのに。愁のお邪魔虫」
『は?』
「あーあ。不完全燃焼」
『なっ……、知るか!』
「ということでー。今夜は愁が相手してくれる?」
『いっぺんシネ』
まあ今から別の誰かに連絡してもいいけど。
どれだけ急なハナシでも
オレに会いたがるひと、たくさんいるし。
ど れ に し よ う か な
選り取り見取り。
こんなことができるのも今のうち。
自分の魅力なら自分が一番わかっている。
でも――、
今夜は、そっちに向かう方が面白そうなことになってたりする?
「幻(ゲン)に代わってよ。一緒なんでしょ」
「生憎だが、幻は――」
――ブツッ。
通話が切れた。
いや。
(切られた……?)
「ねえ、運転手さん。その先の交差点左折したとこのコンビニでおろして」
ワンメーターも走らない距離で車から降り
あらかじめ停めておいた愛車《バイク》にまたがる。
「顔出すなって言われたら。もちろん、出したくなるよねぇ」