総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
先に扉の外に出ると、
続いて総長さんが部屋の明かりを消して外に出てきた。
「どこに、行くんですか?」
「下」
「……?」
お店の正面にあるシャッターは閉まっている。
通り越して別の出入口から店内に入ると、中は真っ暗だった。
電気がつけられると数台のバイク、関連商品、それから見たことのない部品などがズラリと並んでいる。
作業スペースのようなものもある。
(総長さんは、ここで、お店番してるんだ……)
「好きなものを選べ」
「え?」
……わたしバイクの免許ないですよ?
原動機付自転車は
たしか、16になってからですっけ。
まさか、
『無免で乗れ』
『ついてこれなきゃ“俺の”失格だ』
ここに来て、“鬼”総長発揮ですか――!?
「といっても、小さな店だ。取り寄せれば種類も豊富にあるだろうが。今はこれだけだな」
ある棚の前で総長さんがピタリと足を止めたので、つられて立ち止まる。
そこにあったのは――。
「……ヘルメット?」
「あった方がいいだろう」
そっか……! さっき総長さんの借りたから。
おかしな妄想をしてしまった。
さっきノンヘルでヒヤヒヤしたもんね……。
いくら運転上手くても絶対に必要なものだ。
「部屋にも幾つかあることにはある。それを貸してやってもいいが――夕烏のがひとつ、あってもいいと思ってな」
(わたし専用の、ヘルメットを……?)
……すごく嬉しい。
自分のヘルメットを持つなんて、初めてだ。