総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
だけど、こういうのって
いくらくらいするんだろう。
チラリと値札に視線をもっていく。
(た、高ッ……!?)
いち じゅう ひゃく せん まん
……ヘルメットってこんなに高いの?
とてもじゃないが買えない。
「結構、するんですね」
「ここのオーナーの趣味でな。無駄に珍しいもの揃えてやがる。半分趣味でやってるからな、あのオッサン」
(……オッサン?)
「ちなみに、オーナーさんは、今日は……」
「どっかで飲んだくれてんだろ。戸締まりだけ任されてやったが、そのうち迎えに来いって連絡来るかもしれねえな」
「!?」
「隣に部屋あったろ」
総長さんの部屋の扉の隣に
別の扉があったことを思い出し、頭を縦に振る。
「あそこがオッサンの家だ」
「そうなんですね」
「それで。気に入ったのあるか?」
気に入るもなにも、手の届かない値段を見てしまったので購買意欲がぐーんと下がりました。
「や、やっぱり、総長さんの持ってるやつ借りてもいいですか」
「夕烏の趣味に合わないか」
「違ッ……!」
「遠慮してんのか?」
「だって……総長さん……買ってくれるつもり、なんですよね」
「もちろんだ」
「プレゼントしてもらうには、その、高級品といいますか」
「夕烏は謙虚なやつだな」
いやいや。普通だと思います。
これは缶ジュース奢ってもらう感覚とは違いすぎます。
……缶ジュースでも、申し訳ないですが。
「ずっと使うことになるんだ。それが安モノじゃなあ?」
「……!」