総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


「まあ、消耗品で。飽きもくるだろうから。ずっとは大げさか」

「飽きません……! ボロボロになっても使います!」

「はは」


それじゃお前のアタマ守れねえじゃねーか、と。


総長さんは、また優しく笑いかけてくれた。


――ずっと使うもの。


総長さんは、

わたしとこの先も一緒にいてくれる気でいる。


「……あ」


今見ている棚でなく、近くの棚に

ひとつだけヘルメットが置いてあることに気づいた。


シルバー色で、そこに桜が散らばっているデザインのものだ。


「素敵……」


値段が書いていない。


「なんだ。それがいいのか?」

「え!……はい。カッコイイし、かわいいなあって」


でも、これは売り物ではないのかな。


「あの、値札とかないんですけど」

「それは……」

「?」

「かまわない。夕烏が気に入ったなら」


表情さえ崩さなかったけれど、いま

なにか言いかけたような……。


「被ってみろ」

「……はい」

「ああ。やっぱり俺がやる」
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