総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


そういうと、


そっと、ヘルメットをかぶせてくれた。


「夕烏には少しでけえな」

「これ、女性用じゃないんですか?」

「どっちでもねえな。燐ならちょうどいいくらいだろう」


男女兼用で、頭のサイズで選ぶ感じなのか。


「に、似合いますか」

「……ヘルメットが歩いてるみてえ」

「ええ!?」

「夕烏は、幼児用でも入りそうな頭のサイズしてんもんな」


自転車にお母さんと乗ってる子供が被ってるやつですか!?

さすがにそれはないです……!


「行こうか」

「お、お支払いは……」

「しばらく給与いらねえって言っとけば平気だろ」

「!?」

「あのオッサンのことだ。現金より俺をコキ使えるほうが喜ぶだろうし。どのみちそいつは俺が引き取るつもりだった」


(……え?)


「それ、どういう――」

「さっきよりスピード出すぞ」

「え……!」

「怖えか?」

「こっ……怖くないです!」


だって、総長さんの後ろですから。


わたしは

総長さんの、ですから。


バイクを怖がってなんていられませんよ。

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