総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
いったん気持ちを切り替えよう。
「なんか、家族みたいですよね」
なんといっても、ここ、ファミレスだし。
暴走族の皆さんの関係というのは
家族みたいなものなのでしょうか。
ここは四人くらいで座る席だけれど
あっちの一角には、大人数でテーブルを囲めるようになっている座席がある。
そこに、クロムの皆さんが集まるところを想像してみた。
(……めちゃくちゃ目立つ)
「家族?」
聞き返されてしまった。
ひとりごとのような声のボリュームで。
「いや、なんていうか。総長さんとこうしてご飯食べてると。あったかい気持ちになってきました」
ホッとする、というか。
優しくされてるからなのかもしれないけど。
絶対的な安心感がある。
……またこんな気持ちになれるなんて思わなかった。
なんでそんなに包容力あるんですか、総長さん。
「そうだ。好きな食べ物ってなんですか?」
「ん?」
「なにか作らせてください。愁さんの家のキッチンお借りして……差し入れとか。お弁当とか」
「夕烏が俺に弁当を?」
「はい!」
「夕烏が俺に……飯を……」