総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
総長さんが、確かめるようにそうつぶやいた。
どうしたの?
「あ、嫌ならいいんです! そういうのは、迷惑でしたか」
なにも答えない、総長さん。
「愁は、これから夕烏の手料理が食えるのか」
「え?」
「夕烏に洗濯してもらい。シャツにアイロンをかけてもらうのか」
もちろんです。
お世話になるのですから、そのくらいのこと喜んでやりますとも。
「あ……。愁さん、潔癖なんですよね。嫌がられない範囲でお手伝いさせてもらわなきゃ」
「やらなくていい」
「……へ?」
「あいつの身の回りの世話はする必要がない」
「でも……」
家賃払えそうにありませんし。
ならば、せめてそのくらいはさせて欲しいのですが。
「ご飯は一人で食べるより、誰かと食べたほうが美味しいですし」
「…………」
「総長さん……?」
「――わるい」
そういって、総長さんが電話を取り出して耳に当てた。