総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
返す言葉もなく呆然としていると、
「なっ……なに言ってるんですか、総長さん! 謝ってください!」
「どうして」
「友達に殺すなんて言っちゃダメです」
「……そうだな。悪かった、愁」
……夫婦漫才かこれは?
「おっじゃまっしまーす!」
ガチャ。
扉の向こうから現れたのは、燐だった。
「あー、みんな揃ってる。幻もお泊りコース?」
「……いや」
「なにこの空気。なんでみんな固まってるのー?」
どうしようもない空気をあっという間に和ませてくれたのだけは感謝するが。
「オイ、燐。なに人の家に勝手にあがってきてんだよ!」
呼んでねえぞ、テメェは。
「入居祝いのパーティーしようと思って色々買ってきたよ〜」
「手を洗え、手を。……いやむしろ今すぐ帰れ」
両手いっぱいに荷物を持っている、燐。
「どうやってエントランスくぐった。ロックかかってたろ」
うちのマンションのオートロックは番号だけじゃ開かねえぞ。
「んー? さっき下で仲良くなったお姉さんに通してもらった」
「セキュリティの意味ねぇじゃねーか……」
「ほんとにね。オートロックに頼って玄関の扉を閉めないのは、危ないよー」
なるほど気をつけないといけませんね、と少女が納得する。
「ユウちゃん、はいこれ」
「……これは?」