総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


「洗顔フォームと化粧水。必需品でしょ。愁はそのあたりのものなーんにも知らないから。チェリボーイだから」


悪かったな。

ってチェリーボーイ関係ねぇわ!


「それと」


燐は声のトーンを落とし、続けた。


「とりあえずこれだけあれば安心かな?」


こっそりなにかを少女に見せる燐。

黒い袋で、こちらからは中が見えない。


「なっ……こんなものまで。ありがとうございます」



なんだあれ。


「なんか。お姉ちゃんが、できたみたいです」


はあ? 燐が、お姉ちゃんだぁ?

そいつはたしかに外見は中性的だ。

外見だけは、な。


蓋を開ければ自他共に認める肉食系男子だぞ……。


「あはっ。それじゃあ“燐おねえちゃん”って呼んでくれていいよ?」

「スカート似合いそうですよね、燐さん」

「はくはくー。ユウちゃんのためなら。お風呂も一緒に入っちゃう」

「え!?」


完全におちょくる燐と

それを真に受けて驚いたり顔を赤らめる少女。


……その傍らで殺気立つ、幻。


なあ、幻。わかってんのか。

俺ら協力してやってんだぞ。


その子が暮らせるように力貸してんだ。


なのに、あからさまな敵意剥き出すなよ――。


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