総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「テメェにお姉さんなどつとまるか」
「大丈夫だよ? ボクは年上専門だから、ユウちゃんのことは妹みたいにしか見れない。仮に同じベッドで寝ても、間違いなんて起きないよ〜」
「……それはやめておけ。殺されるぞ」
「あー、そっか。ユウちゃんは、幻のお気に入りだもんね」
「お気に入りなんてもんか」
「えー? なになに。なにかあったの?」
俺の口からはなにも話すまい。
どうせ遅かれ早かれバレることだろうが、今夜のところは幻の総長としての威厳を守ってやろう。
明日以降は、知らねぇ……。
「もう夜遅い。夕烏は寝かせる。愁、風呂場に案内してやれ」
「お、俺?」
「お前の家だろう」
ここは自分で連れてかねーのかよ。
信用されてはいるんだよな、一応。
ただ、感情のコントロールがきかないらしい。
だからこんな風に――表情が崩れる。
(愛しそうに見つめやがって……)
嫉妬だって、丸出しになるのだろう。
だとしても限度ってもんがあるだろう?
味方に牙向けるなんざ幻らしくねーな、ほんと。
そこまでさせるこの子は一体……。
「来るんだ」
「はい!」