総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
泣く子も黙る総長が
ただの男に見えた瞬間だった。
「それが幻なりの愛情表現なんだろ」
「…………」
「ちっとは自分の為に動いたっていいと思うぜ」
いきなり加速しすぎてついていけねーが。
それが総長様ってなら。
……ついていくしかねーだろ?
「振り回されてやるよ。ただし、それは違うと思えばまた口挟むと思うがな。チームメイトとして。……幻の友人として」
「お前らのことも大切だから」
――!
「ちゃんと想ってる」
「……気色悪いこと言わなくていいっつーの」
――幻ってこんな男だったのか?
やっぱり幻は難しいやつだ。
果たしてあの子に扱えるのか。
……あの子だから、扱えるのか……?
「夕烏の勤め先が決まった」
……マジかよ。
もう話つけてきやがったのか、燐のやつ。
幻の出した条件オールクリアしてるか
それ以上の成果あるってことなんだろうが。
……あいつの人脈マジでどうなってんだよ。
あんなチャラチャラしたやつに
どうして人が集まるんだか
心底、理解不能だ。
「なあ、幻。言ってしまえば俺たちのしていることは世間では誘拐扱いされることだ」
「違いねえな」
いくら俺たちがあの子を助けようと思っても
あの子は、家出少女なんだ。