総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「幻……」
「連れて帰れるものなら、帰りてえよ。ずっと傍に置いておきたいんだ。一緒にいられないときは安全な場所に鎖をつけて閉じ込めておきたい。手を出そうって者がいるなら生きては還さない」
やっぱり幻は
俺には計り知れないほど変わってしまったのかもしれない。
「だけどそんなことできるわけない。あの部屋は安全でもない。夕烏は置いてやれない。ここにいた方がはるかに危険を回避できるし不自由のない暮らしができる」
なあ、幻。
俺はあの子のこと、なにも知らねーけどさ。
あの子はひょっとしたら。
……それでもいいからお前のそばにいたいんじゃないか?
お前のあの子を見る目が特別なように。
あの子もまた、はやくもお前のこと、特別な存在に感じているように俺には見えた。
「夕烏と暮らす新居を探す」
もう俺はお前からなにを聞いても驚くことはないかもしれねーな。
たとえお前が狂うほどあの子を愛したからといって、俺がお前に愛想つかすなんてことはないんだよ。
「そうかよ」
「それまでの間。夕烏のこと、頼む」
「頭さげんなって」
「頼んだぞ、愁」
「もちろんだ。あの子のことは、妹だと思って世話してやる」