総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


幻を玄関まで見送り扉にチェーンをかけ、リビングで参考書を読んでいると風呂から少女があがってきた。


(……湯上がり、美少女)


改めて見ると綺麗な顔してるな。

今はまだ幼さが残るが五年もすれば幻と並んでも相応の美人になるだろう。


俺の家に女子がいるだけでも違和感なのに。

それが、濡れた髪に火照った頬をした女子なんて夢か幻の領域だが。


……けっして揺らぐんじゃないぞ正門愁太郎。


この子は幻の女だ。

なぜか本人に自覚はないが。

紛れもなく、総長の女なのだ。


(……我が妹よ)


そう言い聞かせ、参考書に視線を戻す。


「あ、あの」

「なんだ」

「お風呂ありがとうございました!」


幻の姿がないことを一番に尋ねられると思ったが。

先に礼を言われるとはな。


「幻さんと燐さんは、帰ったんですか」

「ああ。幻からは、伝言を頼まれている」

「えっ……。わたしに?」


君じゃなきゃ誰がいるんだ。


「今夜はゆっくり休めとのことだ。明日仕事が終われば迎えに来るから買い物をしようだと」

「……!」


なぜか動揺する少女。


「どうした?」

「い、いえ」

「言えよ。……気になるじゃねーか」

「えっと……たぶん……明日、」

「……?」

「下着買ってくれるんだろうなと思いまして。今のがサイズ合わないこと、気にかけてくれたので」

「なっ……もしかして、君たちもう……」

「へ?」


(……したのか?)


って俺はなにを聞こうとしているんだ。


「なんでもない」

「いえ……! いや、あの。内科検診的なアレで!」


それどういうプレイだ?


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