総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


「優しいですね、愁さん」

「は?」

「愁さんのおかげで今夜はぐっすり眠れそうです」

「アホか。幻のおかげだろう」

「みんなのおかげですね」

「……勘違いすんなよ? 別に俺は親切な人間でもない。あの幻の頼みじゃなきゃ世話なんてしてなかったわけで」

「ふふ」

「なに笑ってやがる」

「総長さん、慕われてるなぁと思って」

「……もう寝ろ。俺は勉強するからな」

「まだ勉強するんですか? その目の下のクマって……」

「睡眠時間は三時間と決めている」

「短っ……! 大丈夫なんですか?」

「四時間半だと長い。一時間半だと身が持たない。ということで、三時間がちょうどいい」

「……?」

「とりあえず先に寝てろ」


いや一緒に寝るわけじゃないけどな?


「はい。おやすみなさい、愁さん」

「おやすみ。……ユウ」


俺に名前を呼ばれた少女は、一瞬目を丸くしたあと、照れくさそうに微笑んで部屋へと入って行った。


……クッソ。


かわいいじゃねーか。

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