能力の純覚醒
イリスは前を歩いているルーラムをずっと警戒の目で睨んでいた。ルーラムがそんなことに気づかないわけもなく、それに気づいていながらも前だけを見て歩き続けていた。
「あー、少し気になったから聞かせてもらうよ? いい? 」
「…どうぞ」
「あ、ありがとー」
答えたのはイリスの方だった。その事に少し驚いてルーラムは言葉に詰まったが、前の調子に戻して感謝をした。そして、きいた。
「スクロベェリーって同じだけどもしやもしやで珍しい双子さんかね? もし、そうならあの方が喜ぶんだけど」
「ええ、私達はたしかに双子よ。昔からずっと一緒の唯一の血縁。マリアとはずっと一緒にいるわ。ところで…あの方って、誰? 」
マリアが答えようとするとイリスが無言で止めて自分で答えた。少し口調を和らげたように聞こえるが、ルーラムを油断させようとしているだけだった。
「ん? そうだねー、それは会ってみてからのお楽しみかな? あ、気づいてないよね? 僕も双子の片割れさ」
イリスは聞き慣れない『僕』という一人称に身が震えた。そして思った。「気色悪い」と。
「あ、あら? そうなのね。私たち以外の双子を見るのは初めてよ…え? 」
マリアは気づいた。そしてすぐにイリスも気づいた。
「あ、ありえない。私たちの前に産まれた双子は確かにここに来ている。でも、前に産まれたのは五十年以上前のはずよ。そんな私たちと変わらない見た目だなんてありえないわ」
「僕は八十四歳。明後日で八十五歳だ。僕と姉さんは死を知らないからね、老いることも知らないんだ」
「…」
ルーラムのその言葉をきいた二人は、暫くなにも言えず、歩くことしかできなかった。それを感じ取ったルーラムは少し明るい、生きている人間の気配のある村に向かって歩いた。
その村が見えても二人はなにも言えず、ルーラムが歩く速度と同じ早さであとをついていき続けた。
二人は気づいたのだ。国が、王家が忌み嫌い、遠ざけるほどの能力の影響で老いることを知らなくなったルーラムが目の前にいる。そして、それと同じくらい危険な能力を自分達も持っているのだということに気づいたのだ。
「あー、少し気になったから聞かせてもらうよ? いい? 」
「…どうぞ」
「あ、ありがとー」
答えたのはイリスの方だった。その事に少し驚いてルーラムは言葉に詰まったが、前の調子に戻して感謝をした。そして、きいた。
「スクロベェリーって同じだけどもしやもしやで珍しい双子さんかね? もし、そうならあの方が喜ぶんだけど」
「ええ、私達はたしかに双子よ。昔からずっと一緒の唯一の血縁。マリアとはずっと一緒にいるわ。ところで…あの方って、誰? 」
マリアが答えようとするとイリスが無言で止めて自分で答えた。少し口調を和らげたように聞こえるが、ルーラムを油断させようとしているだけだった。
「ん? そうだねー、それは会ってみてからのお楽しみかな? あ、気づいてないよね? 僕も双子の片割れさ」
イリスは聞き慣れない『僕』という一人称に身が震えた。そして思った。「気色悪い」と。
「あ、あら? そうなのね。私たち以外の双子を見るのは初めてよ…え? 」
マリアは気づいた。そしてすぐにイリスも気づいた。
「あ、ありえない。私たちの前に産まれた双子は確かにここに来ている。でも、前に産まれたのは五十年以上前のはずよ。そんな私たちと変わらない見た目だなんてありえないわ」
「僕は八十四歳。明後日で八十五歳だ。僕と姉さんは死を知らないからね、老いることも知らないんだ」
「…」
ルーラムのその言葉をきいた二人は、暫くなにも言えず、歩くことしかできなかった。それを感じ取ったルーラムは少し明るい、生きている人間の気配のある村に向かって歩いた。
その村が見えても二人はなにも言えず、ルーラムが歩く速度と同じ早さであとをついていき続けた。
二人は気づいたのだ。国が、王家が忌み嫌い、遠ざけるほどの能力の影響で老いることを知らなくなったルーラムが目の前にいる。そして、それと同じくらい危険な能力を自分達も持っているのだということに気づいたのだ。