イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「その元気があれば、きっとあなたは殿下の力となれるでしょう。それに」

 ルースは、にやりと笑った。

「ようやく、地が出ましたね」

 言われて、は、とアディは気づいた。

(やってしまった……!)

 よりによって王太子妃の決定権を持つルースの前で、つい地を出してしまった。青くなったアディを見ながら、ルースが少しだけほつれた自分の前髪をかきあげた。

「やはりその方が、あなたらしい」

「……は?」

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