イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
昨日、うっかりルースの前で地を出してしまったのは失敗だった。だが、今日の昼前の講義でも、ルースの様子はいつもと変わらなかった。
なぜルースが何も言わないのか、何度考えてもアディにはわからない。もしかすると、王太子妃に不適当とみなされ早々に家に帰らされるかも、とひやひやしていたが、どうやらその気配もない。アディが見る限り、ルースはアディをただからかって面白がっているだけだ。
「私、おもちゃ扱いされているのかしら」
独りごちりながら、アディはアプローチへと足を下ろした。
「あら?」
アディが出てきたアプローチは、離宮の正門ではなく中庭へと通じる出入口だ。その木蔭に、ちらりとポーレットの姿が見えた。
なぜルースが何も言わないのか、何度考えてもアディにはわからない。もしかすると、王太子妃に不適当とみなされ早々に家に帰らされるかも、とひやひやしていたが、どうやらその気配もない。アディが見る限り、ルースはアディをただからかって面白がっているだけだ。
「私、おもちゃ扱いされているのかしら」
独りごちりながら、アディはアプローチへと足を下ろした。
「あら?」
アディが出てきたアプローチは、離宮の正門ではなく中庭へと通じる出入口だ。その木蔭に、ちらりとポーレットの姿が見えた。