イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「そうですね。……何度かは」
「どのような方なのでしょう。私もこちらに来てから一度、天蓋のレース越しにしかお会いしていないので」
マルセラは、少し考え込むようにしてから言った。
「お寂しい方です。窮屈な生活の中で、信じられる方も少なく……せめて、自由に散策くらいできるようになるとよいのですけれど」
やはり、ルースやフィルの言っていた通り、王太子は孤独なのだろう。
「フィルも、同じことを言っていました。それに私にまで、この王宮にいる間は、誰も信じてはいけない、と」
「フィルをご存じなのですか?」
意外なことを聞いたように、マルセラが目を見開いた。
「存じている、というほどでもありませんけれど、先ほども一緒に話をしておりました。そういえば、フィルはどういった方なのでしょうか?」
何気なく聞くと、マルセラはふいっと視線をそらした。
「どのような方なのでしょう。私もこちらに来てから一度、天蓋のレース越しにしかお会いしていないので」
マルセラは、少し考え込むようにしてから言った。
「お寂しい方です。窮屈な生活の中で、信じられる方も少なく……せめて、自由に散策くらいできるようになるとよいのですけれど」
やはり、ルースやフィルの言っていた通り、王太子は孤独なのだろう。
「フィルも、同じことを言っていました。それに私にまで、この王宮にいる間は、誰も信じてはいけない、と」
「フィルをご存じなのですか?」
意外なことを聞いたように、マルセラが目を見開いた。
「存じている、というほどでもありませんけれど、先ほども一緒に話をしておりました。そういえば、フィルはどういった方なのでしょうか?」
何気なく聞くと、マルセラはふいっと視線をそらした。