イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「いっ……! 今……! なにを……?!」

「おや、キスは初めてですか?」

 言葉遣いを敬語に戻したルースは、平然とした態度で言った。

「安心してください。私も初めてですから」

「だからってっ! 何をっ、どう安心しろと! 私は、あの! 王太子妃として、ふさわしい! 清い純潔を!」

 動揺したアディは、自分でも何を言っているのかわからなくなった。

「うるさいですね。もう一度その口、ふさぎますよ?」

 アディは、ばしりと両手で自分の口を覆った。再び同じことをされてはたまらない。
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