イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
馬車が静かに止まった。開けられた扉から、アディは目の前の建物を見上げる。思ったよりこぢんまりとしていたが、白い石造りが日に輝いて荘厳なまでに美しかった。
キリリシア王国首都キリノア。ここは、その国王の住まう王宮だ。
視線をおろせば、そこには王宮に勤める執事や女官、メイドたちが、未来の王太子妃(かもしれない)アディに対して最上級の礼をとっている。
「お待ちしておりました。アデライード・モントクローゼス様」
馬車のすぐわきに控えていた王宮の執事が、アディのために手を差し出す。年頃の令嬢らしく扇で顔を隠したアディは、演技ではない緊張で震えながら、目の前に出された執事の手をとって馬車のステップに足をかけた。
「きゃっ……!」
キリリシア王国首都キリノア。ここは、その国王の住まう王宮だ。
視線をおろせば、そこには王宮に勤める執事や女官、メイドたちが、未来の王太子妃(かもしれない)アディに対して最上級の礼をとっている。
「お待ちしておりました。アデライード・モントクローゼス様」
馬車のすぐわきに控えていた王宮の執事が、アディのために手を差し出す。年頃の令嬢らしく扇で顔を隠したアディは、演技ではない緊張で震えながら、目の前に出された執事の手をとって馬車のステップに足をかけた。
「きゃっ……!」