イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
姿勢の良いその姿は、背が高い。アディより頭二つは大きいだろうか。凛とした横顔は最初に思った通りやはり美しく整っていて、なるほどこれなら女性たちの視線が熱いのもわかる、とアディは変な感心をした。

 アディの視線に気づいたらしく、執事がふいにこちらを向いた。

「どうかいたしましたか?」

「あ、いえ……」

 あわててアディは視線をそらした。不躾に男性の顔を見つめるなど、それは令嬢らしくない振る舞いだ。
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