イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
第一章
街は活気に満ちていた。
キリリシア王国の地方都市、ロザーナの繁華街は、今日もさわやかな朝を迎えていた。いくつもの露店が並ぶ大通りは、にぎやかに人々が行きかう。
そんな大通りの端の方で年頃の少女が二人、店に並んだ野菜を真剣に見ている。
「お嬢様、キャベツがあります! 新物ですよ!」
ブラウンの髪を三つ編みにした若い少女が嬉しそうに声をあげて、一つを手に取った。
緑色につやつやと光るそれは、こぶりながらたっぷり水気をふくんでいかにもおいしそうだ。それを、同じ歳くらいの少女が、値踏みするように手にする。
その少女は、手にした野菜をよく見ようと、明るい金色の髪を隠していたフードを頭からはずした。白い肌にほんのりとバラ色をした頬があらわれる。
大きな目をした可愛らしい、年のころは十六、七くらいの少女だ。赤く色づいた唇で、彼女も嬉しそうに笑った。
キリリシア王国の地方都市、ロザーナの繁華街は、今日もさわやかな朝を迎えていた。いくつもの露店が並ぶ大通りは、にぎやかに人々が行きかう。
そんな大通りの端の方で年頃の少女が二人、店に並んだ野菜を真剣に見ている。
「お嬢様、キャベツがあります! 新物ですよ!」
ブラウンの髪を三つ編みにした若い少女が嬉しそうに声をあげて、一つを手に取った。
緑色につやつやと光るそれは、こぶりながらたっぷり水気をふくんでいかにもおいしそうだ。それを、同じ歳くらいの少女が、値踏みするように手にする。
その少女は、手にした野菜をよく見ようと、明るい金色の髪を隠していたフードを頭からはずした。白い肌にほんのりとバラ色をした頬があらわれる。
大きな目をした可愛らしい、年のころは十六、七くらいの少女だ。赤く色づいた唇で、彼女も嬉しそうに笑った。