イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
こころなしか自分に向けて言われているように感じてアディはルースを睨みつけるが、ルースは素知らぬ顔で続けた。
「では、本日はキリリシア王国の歴史から始めます」
「建国は、今より五百七十二年前、初代ウダリ王が近隣の国から独立したことに始まる」
唐突に、凛とした声がその場に響いた。アディが声の主を追うと、それは、姿勢よくソファに座ったエレオノーラだった。
「最初の王朝は古ウダリ王朝と呼ばれその時に制定されたスリート法典は現在も政治の基盤となっている。古ウダリ王朝は実に五十年にわたり……」
その後も滔々とエレオノーラはキリリシア王国の建国史を述べた。よどみないその口調に、アディは素直に感心する。
「では、本日はキリリシア王国の歴史から始めます」
「建国は、今より五百七十二年前、初代ウダリ王が近隣の国から独立したことに始まる」
唐突に、凛とした声がその場に響いた。アディが声の主を追うと、それは、姿勢よくソファに座ったエレオノーラだった。
「最初の王朝は古ウダリ王朝と呼ばれその時に制定されたスリート法典は現在も政治の基盤となっている。古ウダリ王朝は実に五十年にわたり……」
その後も滔々とエレオノーラはキリリシア王国の建国史を述べた。よどみないその口調に、アディは素直に感心する。