エレディンの乙女と青龍の守護者
12.赤
カミユが連れ出してくれた外は
それはそれは素晴らしかった!
「よし、出ていいぞ。」
城門を出てしばらくすると、
カミユはマントの背に声を掛けた。
すると小さな顔がひょっこりと顔を出した。
「まぁぁぁ、、!」
きらきらとした瞳が目の前に広がる街を見つめる。
カミユの太い腕がカティナをしっかりと抱えあげる。
高いところから街を見渡すことができた。
活気にあふれ、楽しげに行き交う人々の姿。
カミユがあれこれと話して聞かせてくれるので
いろいろな店がわかった。
商人や芸人、騎士や旅人も見えた。
カティナのあまりに楽しげな様子に
カミユは何か旨いものでも買ってやろうかと
さっと露店を眺め振り返った。
たったそれだけの間に、
足元にいたはずの幼いカティナの姿は
どこにも無くなっていたのだった。