エレディンの乙女と青龍の守護者
儀式は、この国一の神官が執り行わなければならないらしい。だがその神官は、しばらく前から公務で出ていて、まだ戻っていないという。
それで、至急帰るよう使者を出したところらしいのだ。
神官が戻るまでの間、儀式は行えない。
その間、カティナが他国の間者らに目立たないよう、
今回のような危険を免れるよう、
神官と似せたこの衣装が選ばれたらしかった。

だが衣装のどうのこうのには
今のカティナは関心が向いていない。


「ー、、ではそうしよう。」

「かしこまりました。」
かたん、と音を立てカミユが出て行くところだ。



「本当に、どこか痛いところはないのか?
怪我はしていないのだろう?」
ウェルロイドの問い掛けにも、ただ、
こくん、とだけ頷くのが見える。

カティナはさきほどから下を向いたまま、
頷くか首を横に振るかしかしない。
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