ホットホットドリンク
「あの、中西くん……」

「んー」

「ものすごく申し訳ないんだけど……」

「気にすんなよ」

ひょいと彼は首を傾げてみせた。

その仕草が妙に目を惹きつけて、沙羅はなんとも言えない気分になる。

胸の中がざわつく。

これは、恋か。恋なのか。…………?

私は彼が好きなの?

沙羅の思考はそこで行き詰まる。

いつもそうなのだ、分からないのだ、好きなのか、そうでないのか。

この時間を以て中西への印象は大幅に変わったし、モテる理由も分かったような気がする。

でも、好きか……? 人間的に気になっているだけなのかもしれないではないか。

そうやって持て余した気持ちを、はっきり名前をつけてあげられない気持ちを、今に至るまで引きずっているのだ。
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