ホットホットドリンク
沙羅はそこまでコーヒーが得意ではない。

かといって甘いものが好きなわけでもない。

カフェオレくらいがちょうどいい。

甘いようで、苦いようで、白と黒がぐるぐる、曖昧なカフェオレ。

それはまるで自分のようで。

答えをはっきり出せない、白黒つけられない、個性がない、自分。

曖昧で、どっちつかずで、中途半端な────。

「────南野!」

ひゅっと一瞬息をのんでしまった。

「え、浦田……?」

「教授、来たぜ」

「えっ、あっ、ほんとだ……。ごめん、ありがと」

思念を払うように軽く頭を振る。

自分を卑下するようなことを考えてしまっていた。

一度それに囚われたらなかなか戻って来られない。

浦田に、感謝だ。

教授の朗々とした声が響き始める。
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