ホットホットドリンク
「────……では、今日はこれで終わりだ」

授業が終わった。

講義室の空気が緩む。

沙羅もほっと息をついて、筆記用具を片づけはじめた。

「──……そういえば、お前んとこの女子高生ちゃん、今どうなんだ?」

「どうって」

中西だ。

ざわついた教室でも彼の声をすんなり聞き分けられる自分を、新しく見つける。

「どうっつったら、どうだよ。付き合ったりしねえの?」

「しねえ」

心臓が跳ねた。

「でもさー、その子のためにわざわざテスト作ってんだろー?」

「家庭教師だからな」

「うわー素っ気な。でも俺には分かるぜ。ポーズだろ。最近お前、その子の話したがらねえもんな!」

「女子高生の話したがる男子大学生の友だちがいいのか」

「それはいやだな。でもやっぱさー、俺は、お前の態度は照れ隠しだと思うんだよなー」

中西の友だちは無邪気に笑っている。

中西は……顔をしかめている。うっとうしそうに。

図星をつかれたくないように──。
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