ホットホットドリンク
沙羅はゆっくりと片づけを終え、表情を変えることなく席を立った。

「……南野?」

「浦田、じゃあね」

物言いたそうな浦田に手を振り、普通の歩調で沙羅は歩いて講義室を出る。

内心は、普通だとは言えなかった。

ぐるぐる、ぐるぐる。

中西くんには、ついに好きな人ができたの?

私はそれを聞いて、動揺してる?

つまり、私は中西くんのことが好き?

でも、涙は出てこない。

まだ好きじゃなかったんじゃない?

気になっていただけなんじゃない?

後悔のような黒、自分を宥める白。

ぐるぐる、ぐるぐる、渦巻いて、なにがなんだか分からない。

曖昧で、ぼんやりしていて、どっちつかずで、中途半端。

苦いような、そうでもないような、微妙な気持ち。
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