ホットホットドリンク
「……あのね、先輩、そういうこと言うのは周りに人がいないときにしてって何回言ったら分かるの?」

奈子がやっと口を開いたのは、校舎を出てしばらく歩いてからだった。

「ごめん。でも奈子があんまりに可愛いから」

「そう言ったらなんでも許されると思わないで」

と奈子は言うが、なんだかんだ許してくれる。

そういうところがまたたまらない。

ほんのちょっと前を歩く奈子に並んで、右手をとった。

奈子は顔を赤くするが嫌がってはいないので、そのまま繋いで歩く。

「なー、今週末デートしよ」

「えーと、日曜日は塾なの。土曜日なら大丈夫です」

「おっけー土曜ね。あのさ、隣町に新しいカフェができたの。知ってる?」

「えっ、知らなかった」

「そこ行こーぜ」

「うん」

楽しみ、と口元を綻ばせる奈子を見て、翔は内心よっしゃとガッツポーズを決めていた。
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