ホットホットドリンク
T字路が見えてきた。

奈子は右、翔は左である。

本当は自分の家に招きたい、いやせめて奈子の家まで送りたいのだが、お互いの家に行くのは休みの日だけというルールがあるのと、家族にはまだ知られたくないと奈子が言うのとで、いつもここで別れる。

「……あー……まだ離れたくないー」

「週末デートするんでしょ」

そして毎日、ぐずる翔を奈子が宥める。

どっちが年上なのか分からないが、仕方ない。惚れた弱みだ。

「じゃー奈子は寂しくないの」

「や……それは寂しいけど……」

奈子はちょっと困った顔をする。

奈子はどんなでも可愛い。
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