ホットホットドリンク
「はー……。それじゃ、また明日ね」

「う、うん……」

返ってきた右手を左手で包み込みながら、奈子は頷いた。

「あの、翔くん……」

「ん?」

「あの……、家に着いたら電話してもいい? あの……ちょっとだけ」

「……奈子ちゃん、俺が今やっと離れる決意したのに、一瞬でそれを覆すなよ」

「へっ?」

きょとんとしている奈子の額に、軽くキスを落として、そして唇にも。

理性がなくなるとまずいので、一瞬のことで終わらせたが。

「なっ……ここ、道端なのに……!」

「奈子が悪い」

くしゃくしゃと奈子の髪をかき回して、翔はさっと後ろを向いた。

これ以上一緒にいると本気で持ち帰りそうである。

「奈子、電話するから、出てよ」

「う……うん。あとでね」

「ん。じゃーね」

「うん」

それを聞き届けて、翔は歩き始める。
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