ホットホットドリンク
男女で仲がいいと、多少は恋愛沙汰に結びつけられるのが高校である。

だが、七瀬と三上は例外なのだ。

かたや学年一を争う秀才、かたや学年最下位を争う落ちこぼれ。

そんな構図だからだろうか、出来の悪い妹とその面倒を見る兄、というのに近い雰囲気で、クラスメイトには認識されている。

「で、俺は英語するけど、お前どーすんの?」

「英語するー。長文のテキストがまだ終わってないんだよね」

「今何番?」

「二番」

「……それ二週間前の課題じゃね?」

「そーなの?」

きょとーん、と三上は小首を傾げる。

この顔、この雰囲気が、三上凛の十八番だ。

七瀬ははああとため息をついて、黒縁の眼鏡のブリッジを中指で押さえる。

心底呆れたときに七瀬がよくやる仕草である。

三上と七瀬のやりとりは、もはや一種の漫才のように、クラスメイトには思われている。
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